【分散投資】のコツ!相関係数で効果を最大化する方法

資産運用

やってはいけない分散投資のパターンとその理由

分散投資とは、複数の資産に分散して投資することで、リスクを低減し、収益を安定させることです。分散投資の効果は、資産間の値動きの関係性を表す数値である相関係数によって決まります。相関係数は、-1から1までの範囲で、値が小さいほど関係性が弱く、値が大きいほど関係性が強いことを意味します。相関係数が低い資産を組み合わせると、分散効果が高まります。相関係数が高い資産を組み合わせると、分散効果が低くなります。

そもそも分散投資ってどんな効果を期待しているの?

分散投資といっても、今回は投資対象の種類を分散させるという意味に絞ってお話しします。
(時間軸はを分散させるという意味で使われる場合もあるので)
分散投資の効果として期待したいのは、以下チャートのようなものです。

(参考:ニッセイ基礎研究所-金融研究部  准主任研究員・ESG推進室兼任   原田 哲志-金融・経済危機に強い資産運用を考える-連動性の強まる金融市場でのオルタナティブ資産の活用

上記のチャートでは、下落相場でも下落幅を抑えることができています。
投資の世界では、リスクとは価格の変動幅を言います。
分散投資の一番の効果は、リスク(価格の変動幅)を抑えることです。

このリスクを下げたい方には、次のような方がいるかと思います。

  • 現在、家族を養っており、お金のかかるライフイベントがある。
  • 高齢で老後の資金が、比較的すぐに必要になる。

要するに、すぐにお金が必要な場面が来るかどうか。
が判断基準になるかと思います。

それって本当に分散できてる?一番人気のS&P500との組み合わせで気を付けたいものとは

では、分散投資をする上でやってはいけないパターンとは、具体的にどのようなパターンでしょうか?

以下に3つの例を挙げます。

  • S&P500 × 全米株式
  • S&P500 × アップル(Apple)ティッカー:AAPL
  • S&P500 × 全世界株式

S&P500と全米株式

S&P500と全米株式   S&P500とは、米国の代表的な株価指数で、時価総額上位500社の株価を平均したものです。全米株式とは、米国の全上場企業の株価を平均したものです。S&P500と全米株式は、どちらも米国の株式市場を反映する指数ですが、その相関係数は0.99と非常に高いです。

つまり、ほとんど同じように値動きをするということです。このように、相関係数が高い資産を組み合わせると、分散効果がほとんど得られません。S&P500と全米株式のどちらか一方に投資するか、あるいは他の地域や資産に分散する方がよいでしょう。

S&P500とApple

・SP500とAppleなどの米国個別株     S&P500とAppleなどの米国個別株も、相関係数が高い資産の組み合わせです。S&P500の構成銘柄の中には、AppleやMicrosoftなどの巨大IT企業が多く含まれています。そのため、S&P500の値動きは、これらの個別株の値動きに大きく影響されます。

実際、SP500とAppleの相関係数は0.86と高いです2。S&P500とAppleなどの米国個別株に分散投資すると、リスクを分散するどころか、リスクを集中させることになります。S&P500とは異なる業種や地域の個別株に分散する方がよいでしょう。

S&P500と全世界株式

S&P500と全世界株式     S&P500と全世界株式は、それぞれ米国の全上場企業の株価と、世界の全上場企業の株価を平均したものです。S&P500と全世界株式は、地域的には異なる資産のように見えますが、実は相関係数が高いです。それは、S&P500の中にも米国の企業が大きな割合を占めているからです。

全世界株式の時価総額の約60%は米国の企業が占めています。そのため、S&P500と全世界株式の相関係数は0.95と高いです。S&P500と全世界株式に分散投資すると、分散効果が低くなります。全世界株式とは異なる地域や資産に分散する方がよいでしょう。

上記のことから相関係数が大きい株式同士を保有しても下落相場では下落幅も大きく、『分散投資』とは程遠いといえるかと思います。
もちろん、自分なりに考えたうえで買っているのであれば、全く問題はありません。
今回指摘しているのは、分散と思って買っているのであれば、それは間違っているのでは。ということです。

相関係数でみる分散投資

具体的にはどのような銘柄があげられるでしょうか。分散投資であげられる銘柄を比較しながら見ていきましょう。

  • 債券
  • 金(ゴールド)

S&P500と債券

まずは債券から見ていきます。

下の相関係数をご覧ください。
比較対象はSPY(S&P500):BND(米国債)です。

先ほどまでの相関係数とは全く異なるのが、一目瞭然です。

少し補足で説明すると、国債の価格と金利の関係は、
・価格が上昇⇔債券の金利は下落
・価格が下落⇔債券の金利は上昇
これは、需給のバランスで決まるからです。

また、景気と金利の関係もお話ししておきます。
・好景気→国債を買う人が減る(不動産や株式の利回りが良い)→債券価格が下がり金利は上がる
・不景気→国債を買う人が増える(不動産や株式の利回りが悪い)→債券価格が上がり金利は下がる
特に国債10年利回り。

国債には短長期、期間はそれぞれたくさんあります。
基本的には短期が金利は低く、長期が金利が高い。

だって長期でお金を貸しているのに短期より利回りが悪いなんて嫌ですよね。。
と言いつつ、今は異常?な感じ。。(今回、言及はしませんが、、)

S&P500とゴールド

長くなってしまうので、次に行きましょうか。
次は金(ゴールド)になります。

金も比較的株と相関率は低いですね。
株式との性質の違いについて触れておきましょう。
金は株式が下がっているときの、安全資産として投資家から長年の間評価されている金融資産です。
金は、現金と違い必要な分を刷るなんてことできませんよね。。
(最近は異常なほど世界中の中央銀行で現金をじゃぶじゃぶ刷っていました。。)

そのような理由でも、金は安全資産として評価されているのです。

少し話は逸れますが、日本円だけで持つことの危険性について少し触れます。
以下のチャートはドルに対しての円と金(ゴールド)の比較(約10年間)のチャートです。

こんなチャートを見たくない。。それくらい日本円の価値が下がっています。
これから数年、数十年がどうなるかわかりませんが、日本円だけで持っていることのリスクも考えたくなりますよね。。


これを読んでいる方に、もし自分が何にも投資したことないと思っているのであれば要注意です。
だって、あなたはもう日本円に100%投資をしているのですから!!

うわーーーーー!!驚きですよね。。

ドルなどの他国通貨、金(ゴールド)、株式などの資産運用は難しい!
そう思って何もしない??

いいえ、今からでも遅くない。考えることが大事です。

相関係数はどうやって調べるの?

それでは次のページから、具体的な相関係数の比較の仕方を伝えます。

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